移植前(14年1月)

もう治っちゃったのかな、と思うほど僕は元気になっていた。病院の中を駆け回ったり、他の子とゲームに興じていた。いよいよ造血幹細胞移植が近づいてきた。

放射線に弱い臓器を守るために身体計測をした。照射の仕方を調節するためらしい。

 

移植の一週間前に放射線を全身に照射した。

照射自体は朝夕二回、一回30分足らずを3日間行う。一回2グレイ、光子なので、2シーベルトと等価。2x2x3=12シーベルト。これで、細胞分裂が活発な部分の細胞を止めるということかな。僕の造血機能はこれで終わり。免疫系統の働きを止めるため、とも言われた。

 

12シーベルトは、短時間に一気に浴びると生命の危険を伴う。医療の照射では、長い時間をかけて、さらに間を空けることで細胞の再生機能を働かせながら、計画的に照射するので、効果が異なる。でも、自分の細胞を抹殺していることは確かだ。とても寂しい。

 

他の子は、放射線照射の後もピンピンして病室に戻ってくるのを見ていた。けれど、僕の場合はとてもだるくなって、病室に戻るときには歩けなかった。だるーい。おえー。っていう感じ。頭痛も感じた。この個人差は一体どこからくるんだろう。もっと照射量を減らせないのかなーって思う。もっとやさしくできないのかな。

 

一週間のちに、末梢血造血幹細胞を移植(注射で血管に注入)するんだそうだ。僕はどうなるだろう。。。

 

移植室に移動になった。他の子と離れるのさびしいな。一ヶ月くらいってきいているけれど、実際はいつになったら、でられるのかな。

移植室ではエプロンを着用。いろいろ細かい決まりがある。床に落ちちゃったものは、決して触らないとか。院内学校の先生は、ここまで教えに来てくれる。唯一の良い点は、テレビ見放題、ゲームし放題のところ。