移植室から

去年(2014年、1月)、僕は造血幹細胞移植を受けた。全身に放射線を12グレー(3日間、6回にわけて)浴びた。免疫力がなくなるので、数日後に移植室に移動。この四角い部屋から一体全体、ちゃんと出られるのかな。。。看護師さんとお母さんがいつも一緒にいてくれる。でも、夜になると帰っちゃう。わかっているけれど、寂しいし不安だ。

お父さんが、病室の壁に家族の写真をベタベタと貼ってくれた。病院のお友達がリースを作ってくれたり、メッセージカードを書いてくれた。僕もがんばろう、という気持ちになった。

でも、気分がわるい。とても匂いのきつい薬も大ッキライだ。飲みたくない。吐きそう。

いよいよ免疫力が無くなったと思われる、一週間後のタイミングで、チューっと点滴のチューブから液体を注入された。

僕はもうフラフラだ。食欲もない。トイレはベッドサイドの簡易式のもので。シャワーはお向かいの部屋で看護師さんが助けてくれる。歯磨きはお母さんがうるさいので、仕方なくやる。口内炎が怖いんだって。もう、髪の毛は無いし、足は枯れ木のように細くなった。運動をしないとこうなるんだね、とお父さんが意味のない感想を言う。栄養は点滴で補っているんだけど。

一体本当に出られるのかなぁ。とても不安だった。永遠に続きそうな、長い時間。

お兄ちゃんがwiiのリモコンを持ってきてくれた。ベッドサイドに消毒済みのゲーム機本体があって、僕はベッドの上で、お兄ちゃんはガラス越しの外から、一緒にwiiをして遊んだ。とても楽しかった。

お母さんは、毎日、欠かさずに来てくれた。消毒済みのエプロンと帽子をかぶって、ずっとそばに居てくれた。院内学校の先生も来てくれて、勉強もしたよ。

僕の場合は末梢血幹細胞移植だったけれど、その後の血液検査の結果、白血球数が順調に回復していった。2月のはじめには、移植室を出て、個室に移動することができた。